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G線の歴史G線の歴史

1952年の創業当時から、洋菓子・ドリンク・インテリアデザイン・お土産物など、
神戸らしいスタイルでお客様に親しまれてきました。
神戸で生まれ、神戸で育まれた神戸G線の歴史を紹介します。

常に時代をリードしてきたカフェのはしり的存在

「伝統の技と心  関西の老舗」発行(株)より

  鮮やかな色彩を大胆に用いたインテリア、灰皿など細部にまで行き届いたアートディレクターの演出。昭和27年、三宮センター街に開業した『G線』は、ケーキなどの製造部門だけではなく、ゆったりお茶も飲める喫茶室もあり、流行に敏感な神戸っ子の心を瞬く間にとらえた。
そのモダンな雰囲気はいわばカフェのはしり的存在で、当時のインテリア雑誌やデザイン雑誌、建築関係の専門誌などにも数多く取り上げられた。営業方針は開業当初から、ハイブローな一線を確保しながらも家族連れでも楽しめる大衆性を合せ持つこと。一見矛盾するような二つの要素だが、それがすんなり受け入れられたのも独自な文化を持つ神戸ならではのことである。
  ところがこの神戸に歴史的な惨事が襲いかかる。平成7年の阪神大震災だ。これにより永く親しまれてきたセンター街の店舗、布引にオープンしていた店舗、共に全壊してしまう。  
   布引に再び『G線』が蘇ったのは震災から2年後、平成9年4月のこと。これを機に新たな一歩を踏み出そう....そんなポジティブ精神が、50年にわたって神戸っ子にとって憩いの場であった空間の「復活」を為し得たのだ。
  再オープンした店内は、グリーンを基調とした優しい雰囲気。ナチュラル志向の時代を反映した店づくりで、常に時代性を意識してきた『G線』の姿勢が継承されている。
   最近話題を集めたワッフルも、『G線』では創業当時からメニューに取り入れていた。何十年と同じ機具を用い、職人が一枚一枚手焼きしている。サクサクと歯ごたえの良い香ばしい味わいは、昔も今も変らず高い人気を誇っている。
  何ごとにもフェイクの多い時代。だからこそ『G線』は可能な限り正統派の立場を守っていきたいと考える。正統派のカフェとは、居心地のいい空間を客に提供すること。『G線』の歩む道は、これからも新たな伝説を築き上げていくことだろう。

G線という名前の由来

このロゴを見て「神戸のジーセン!」と答えれる人はかなりの神戸通。神戸では以前から「ジーセン」と呼び親しまれてきました。
御存じない方の大半は「ゲーセン?」「なんて読むの?」とお答えになります。
"G線"の名前の由来はバッハの組曲を編曲した「G線上のアリア」から。またバイオリンの一番太い弦は「G」で、そこにもちなみ「最低線の味を守る菓子屋でありたい。」そんな思いも込められています。

G線のパッケージ

G線は1952年の創業当時から、パッケージの数々をデザインしてくださった早川良雄さん。
海外の美術館へ、G線のパッケージの数々が「日本の代表的なデザイナーの作品」として海を渡りました。

G線のアートディレクター  早川良雄
「小さなデザインポリシー2」

1962年10月発行「グラフィックデザイン9/ダイヤモンド社刊」より

  G線の<デザイン>にタッチしてからもう10年になろうとしている。この店は神戸のショッピング・センターに位置して、早くから神戸の代表的な喫茶店の一つに数えられている。いまでこそ一流の店の櫛比する三宮センター街だが、開店当時は、薄っぺらいバラックが焼跡の空地を辛うじて埋めていたのを記憶している。ぼくは、G線という名前付けはしたが、最初の店舗設計には参加しなかった。その後、第1回目の改装から店舗デザインを担当し、次々とめまぐるしく部分改装を重ねて現在に至っている。その頃から一切の印刷物をつくり、パッケージをつくり、家具・什器からインテリア、はては壁面の額の中味にまで、飽くなき強引さでわがままを通してきた。良かれ悪しかれG線はこの10年間のぼくの仕事の変移の象徴であり、総合であり、結果であると思っている。

  終戦直後、ぼくが、<近鉄>という職場をえて3年のあいだ、めくらへびに怯じぬ天衣無縫な仕事をさせてもらったが、実質的には、それらの仕事によって先輩に認められ日本のデザイン界に入っていけたように思う。G線はその次にあらわれた面白い<場>であった。それはある意味ではぼくのイケニエであったかもしれないが、現在とにかく神戸のハイ・ファッションとして、殷盛をきわめているからには、ぼくの個性も、まんざら企業や世間に役立たないこともないという証拠にはなろう。もちろんぼくは、G線のコーヒーや洋菓子そのものの価値と吸引力とはよく知っているつもりである。

  ここで、ささやかなデザイン・ポリシーの一例としてG線がとりあげられたが、じつは少し面映い感がないでもない。というのは、申すまでもなく、デザイン・ポリシーという言葉には、自動的な意志が働いているのだが、G線の場合、店舗やインテリアがそのつどの思いつきで、部分的に新しいデザインを加えていったのと同じように、パッケージやグラフィックにも最初から計画された1本の筋みちがあったわけではない。全くのところ、そのつどのケース・バイ・ケースの積み重ねが、いろんな破綻を示しながらも、なんとなく1本の線を感じさせているに過ぎないと思う。

  だからこの<G線>は、G線のそのときどきの営業方針や、販売方式や、製品コストなどから、立体的に編みだされた合理的なデザインの方法ではなく、あるときは1枚の包装紙に5〜6度の色彩を使ったり、あるときは200円売りの製品のパッケージに4〜50円もかける愚をあえてしてきた。だからこれは、あいまいな言葉になるが、合理的なポリシーでははく、感覚的なポリシーの一例になりうるかもしれないと思っている。だが、ぼくはぼくなりに、そういう経済的な不合理を承知のうえで、ひたすらG線という店の風格とか、洒落気とかプライドとか、そういう無形のもののためにたたかってきた。そしてその無駄が、心意気が、顧客の眼と心に、ハイ・センスなキャラクターの店として印象づける役目を果たしてきた、と信じている。ぼくはG線の経営者ではない。が、たまたまこの店に入っていって、いつも満席に近い人々のあいだでクリームを頬ばりながら思わずニッコリ微笑む。企業のためのデザインと呼ぶには、あまりにも恣意的なぼくの仕事だが、とにかくデザイナーの歓びが、そそくさと胸を衝いてくるのをどうすることもできないからだ。

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