G線 神戸の洋菓子
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G線の歴史 特定商取引法に基づく表記 マイページ
 
 

G線は1952年の創業当時から、お菓子・飲み物・味覚・インテリアのデザイン・お土産物のスタイルなどいづれも細心の心遣いを運んでまいりました。その現れともいえる、パッケージの数々を創業当時からすべてデザインしてくださった早川良雄さんのご手記をご覧ください。

 
G線の<デザイン>にタッチしてからもう10年になろうとしている。この店は神戸のショッピング・センターに位置して、早くから神戸の代表的な喫茶店の一つに数えられている。いまでこそ一流の店の櫛比する三宮センター街だが、開店当時は、薄っぺらいバラックが焼跡の空地を辛うじて埋めていたのを記憶している。ぼくは、G線という名前付けはしたが、最初の店舗設計には参加しなかった。その後、第1回目の改装から店舗デザインを担当し、次々とめまぐるしく部分改装を重ねて現在に至っている。その頃から一切の印刷物をつくり、パッケージをつくり、家具・什器からインテリア、はては壁面の額の中味にまで、飽くなき強引さでわがままを通してきた。良かれ悪しかれG線はこの10年間のぼくの仕事の変移の象徴であり、総合であり、結果であると思っている。

終戦直後、ぼくが、<近鉄>という職場をえて3年のあいだ、めくらへびに怯じぬ天衣無縫な仕事をさせてもらったが、実質的には、それらの仕事によって先輩に認められ日本のデザイン界に入っていけたように思う。G線はその次にあらわれた面白い<場>であった。それはある意味ではぼくのイケニエであったかもしれないが、現在とにかく神戸のハイ・ファッションとして、殷盛をきわめているからには、ぼくの個性も、まんざら企業や世間に役立たないこともないという証拠にはなろう。もちろんぼくは、G線のコーヒーや洋菓子そのものの価値と吸引力とはよく知っているつもりである。

ここで、ささやかなデザイン・ポリシーの一例としてG線がとりあげられたが、じつは少し面映い感がないでもない。というのは、申すまでもなく、デザイン・ポリシーという言葉には、自動的な意志が働いているのだが、G線の場合、店舗やインテリアがそのつどの思いつきで、部分的に新しいデザインを加えていったのと同じように、パッケージやグラフィックにも最初から計画された1本の筋みちがあったわけではない。全くのところ、そのつどのケース・バイ・ケースの積み重ねが、いろんな破綻を示しながらも、なんとなく1本の線を感じさせているに過ぎないと思う。

だからこの<G線>は、G線のそのときどきの営業方針や、販売方式や、製品コストなどから、立体的に編みだされた合理的なデザインの方法ではなく、あるときは1枚の包装紙に5・6度の色彩を使ったり、あるときは200円売りの製品のパッケージに4・50円もかける愚をあえてしてきた。だからこれは、あいまいな言葉になるが、合理的なポリシーでははく、感覚的なポリシーの一例になりうるかもしれないと思っている。だが、ぼくはぼくなりに、そういう経済的な不合理を承知のうえで、ひたすらG線という店の風格とか、洒落気とかプライドとか、そういう無形のもののためにたたかってきた。そしてその無駄が、心意気が、顧客の眼と心に、ハイ・センスなキャラクターの店として印象づける役目を果たしてきた、と信じている。ぼくはG線の経営者ではない。が、たまたまこの店に入っていって、いつも満席に近いひとびとのあいだでクリームを頬ばりながら思わずニッコリ微笑む。企業のためのデザインと呼ぶには、あまりにも恣意的なぼくの仕事だが、とにかくデザイナーの歓びが、そそくさと胸を衝いてくるのをどうすることもできないからだ。

 
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